普通の椅子が辛いならバランスボールを試してみよう

腰痛対策にバランスボールまたはエクササイズボールを椅子代わりに利用します。

以前から海外では健康管理の観点から多くの企業がバランスボールを椅子として利用することを認めています。その影響もあり国内でもバランスボールで仕事をする人は珍しいことではなくなりました。少し極端な会社となると、すべての椅子（来客用も含めて）をバランスボールに変えたというニュースも一時期話題となりました。

海外であれば子供の椅子代わりにバランスボールを採用している学校もあります。子供については健康そのものよりも、集中力が上がり静かに授業が進むという効果を期待しているようです。

• 中野製薬｜オフィスにバランスボールを導入

なぜ腰痛にバランスボールなのか

バランスボールを椅子代わりにすることについて、腰痛に良いという人もいれば、絶対に駄目という人もいます。たぶんどちらも正しい意見なのだと思います。腰痛が軽い段階であれば、腹筋や背筋といった腰回りの軽いエクササイズとなり効果が期待できます。ただ、すでに重度の腰痛であれば、不安定な場所に座ることは症状を悪化させる要因になりかねません。ですので、常に痛みがあるような腰痛の方にはオススメできません。

普通の椅子に座っていて、腰の痛くなる原因が以下のものであれば、効果が高いでしょう。

• 筋力不足で正しい姿勢を維持できない。
• 気がつくと姿勢が悪くなっていて、その状態が続いてしまう。

バランスボールによって姿勢がよくなるという医学的な根拠があるわけではありませんが、不安定な球体上でバランスよく座るためには自然と正しい姿勢となります。例えば、Googleで「バランスボール　椅子」と画像を検索すると、バランスボールを椅子として使用している色々な写真をみることができます。

すぐに気付きますが、割と姿勢がよいと思いませんか？あえて姿勢を正してから撮影しているわけではなさそうです。

バランスボール上では、バランスをとる必要があり正しい姿勢を強制されます。その姿勢を保つために全身の筋力を使うようになり、ちょっとしたエクササイズになります。過度な期待をもってはいけませんが、運動不足による筋力低下を原因とする腰痛には効果があるでしょう。実践していて体重が落ちたという方もいるので、普通の椅子に座るよりはエネルギーを消費するようです。

バランスボールの選び方

よくある身長とボールサイズの対応表です。

• バランスボールの選び方：東急スポーツオアシス

これはあくまでも目安と考えておきましょう。もう一つの基準としては、座ったときに膝の角度が90度以上となる大きさも目安となります。普通の椅子と同じですが、ヒザが曲がりすぎるとそれだけ腰も深く曲がることになり負担となります。

あくまで目安というのには理由があります。それは、空気を入れる量とボールの素材で高さが大きく変化するからです。

規定値まで膨らますと凹みにくくなるので、座り心地が固くなり安定感がなく転がりやすくなります。その分バランスをとる必要があり、運動量は増えるといえます。

反対に完全に膨らせない場合は、安定感が増し、座り心地も柔らかくなります。ただ、期待していた高さよりも低くなります。

また、伸びにくい厚みのある素材であれば、体重をかけても球体を維持し変形しにくいのですが、低価格帯のものはどうしても横に広がり楕円形となってしまいます。

• 座り心地と安定感を求めるなら、大きめのものを購入して規定値よりも少なめに膨らまします。高さの調整は容易ですが、運動量と姿勢の矯正力は弱まります。
• 運動量を重視して正しい姿勢をより矯正させたいのであれば、規定値までしっかりと空気を入れます。ただし、高さの微調整はあまりできません。

机のサイズと合わせる

もう一点大事なことは、机の高さを考慮することです。普通の机は高さを変えられません。下駄を履かせることで高くはできますが、低くすることはできません。

あまりにも大きめのサイズを選択してしまうと、背中が丸まることになり余計に姿勢が悪くなる原因となります。ボールに体重をかけたときに、普段使用している椅子と同程度の高さになるサイズを選択します。

例えば、65cmのバランスボールを購入しても、それは空気を満杯に入れた状態で何も乗っていない状態のことです。当然ですが、人が乗ると体重やボールの強度にも寄りますがある程度低くなります。

ニオイがきつい商品があります

初めてバランスボールを購入する方が気にするはずもないのですが、多くのバランスボールでニオイ問題を抱えています。

購入者のレビューを見れば分かるのですが、バランスボールの一番の問題点はニオイです。同じ商品であっても、製造時期によって匂いがあったりなかったりするので、できるだけ新しいレビューを確認しましょう。

「しばらくすると気にならなくなる」「日陰干しで消えた」というコメントもあるので、あまり神経質になる必要はないのかもしれません。

空気入れ（ポンプ）を忘れないように

当然ですが、風船のように口で膨らますのは不可能です。商品によってはポンプ付きのものもありますので、よく確認してから購入しましょう。ポンプ付きであってもおまけ程度の品質のため、すぐに壊れるものもあるようです。

椅子代わりにするときのポイント

足を開いて座る

あくまでも個人的な方法ですが、足を開いて座ると姿勢が安定します。普通の椅子のように座ると、どうしても背中が丸くなってしまいます。球体なので、足を前に出すと重心が前よりになるのも原因かもしれません。

アーユルチェアをご存じでしょうか？既存のチェアとは異なるアプローチで腰痛の緩和をサポートしています。アーユルチェアはこの形状のため、足を開いて座ることで骨盤で座ることになり、自然と背筋が伸びた正しい姿勢となります。

• 腰痛の予防・姿勢の改善に効果的な椅子｜アーユル チェアー オフィシャルサイト

といっても、バランスボールはアーユルチェアと異なり横幅があるので、股関節が柔らかくないと横に開いたまま座るのは結構な負担になります。疲れたと思えば普通の椅子に戻したり休憩をとりましょう。

疲労感があります

よく「長時間座っても疲れません」という感想を見かけますが、正しい姿勢をとり続ければバランスをとる必要のない普通の椅子よりエネルギーを消費するので疲れます。それに疲れない方は腰痛とは無縁なのかもしれません。

私も腰痛さえなければ長時間でも平気な気がしますが、どうしても2時間程度で腰の違和感がひどくなります。

意識しなければ姿勢は崩れます

バランスボールに座ったからと言って、勝手に姿勢がよくなるわけではありません。導入時は、バランスをとろうという意識が強く、自然と背中がまっすぐとなります。ただ、不安定とはいえ人間は慣れてしまうので、そうなるとある程度自分で意識する必要があります。

慣れてしまうとバランスボールであっても、普通の椅子と変わらないくらい姿勢が悪くなっていることがあります。

空気穴を中心に座ります

座る場所は、空気穴を真上か真下にします。ほとんどのバランスボールは、リング上の厚みのある部部があり、ここで強度を出しています。そのため、リングに水平に座らないと傾きます。

腰痛を緩和させるために座るはずが悪化させる可能性もあるので注意しましょう。

夏は蒸れて、冬は冷たい

夏は蒸れますが、大判のバスタオルを引くだけでかなり軽減します。反対に冬はかなり冷えます。私は座布団を引いていますが、座り直すたびに位置調整が必要になるので面倒です。利用者の中には、冬だけ普通の椅子にしている方も多いようです。

腰痛に効くのか？

バランスボールを椅子代わりにしても、すぐに腰痛が治まるわけではありません。すぐに効果がないためがっかりするかもしれませんが、それは仕方がないことです。

個人的には以下の二つが、バランスボールを椅子にすることのメリットだと思います。

• 腹筋や背中の筋力がつき、正しい姿勢を維持できるようになる。
• 意識せずとも正しい姿勢がとれるようになる。
• 座るたびに姿勢を確認する癖がつきます。

すぐには体感できない内容なので、しばらく腰の状態と相談しながら試してみてはいかがでしょうか。

副次的な作用ですが、眠くなりません。昼食後など眠くなることがありますが、バランスボールだとひどい睡魔に襲われることがありません。といっても、慣れてしまうとバランスボールに乗りながら寝てしまう方がいるようなので、絶対とはいえません。

個人的な感想

一日中でなくとも長時間続けて座るのは腰に違和感があったり、疲れやすかったりと難しいです。人によっては問題ないようですので、体力や腰との兼ね合いでしょうか。本当に腰痛がひどい人だとなかなかバランスボールだけで過ごすのは難しいように思えます。

最初はすごく楽なのですが、時間がたつと疲れて姿勢も悪くなり、そうなると腰や首に違和感が出てしまうので、疲れたなと思ったら普通の椅子に切り換えています。

最近では、タイマーを用意して、ある程度の時間が経過したら交互に座るようにしています。こうすることで、ずっと座りっぱなしにもなりませんし、ちょっとした休憩になります。腰痛に最も悪いのは、同じ姿勢を続けることなので、定期的にバランスボールと普通の椅子を変えるはよいと思います。

バランスボール 55cm